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Eliane Elias~Bossa Nova Stories 当代最高のボサノヴァ・アルバム だけど…(CDレヴュー:再録)

この記事はtumblrサイト『a perfect day for gingham check』に掲載したものですが、とくにまとまった長さのある記事なので、携帯からtumblrサイトの閲覧ができない方のためこちらにも再録させて下さい。また携帯の機種によりリンク外れなどがあるかもしれませんがご諒承下さい。

I grew up in Sao Paulo in the 60s, hearing the Bossa Nova. からはじまる彼女のpreface? を読んでいるだけでもじーんと来る。十代の彼女が、かつてのボサノヴァの巨匠たち、モライスに出会い、ジョビンに出会い、そして実際に彼らとともにプレイした。その感動が生きいきと伝わってくるからだ。お洒落でボサノヴァをやっている人たちとは違う。そういう心意気がひしひしと伝わってくる。

1曲目から真っ向勝負の『イパネマの娘』。次に『チェガ・ジ・サウダージ』、いや、やっぱりこれはボサノヴァの代名詞、名曲中の名曲なんだ、としみじみ思う。ボサノヴァ・オリジナルだけでなくアメリカのスタンダードもボサノヴァにしてプレイしているが、Diana Krallの名アレンジに負けじと? Day in day outもとりあげている。だいたいこのアルバム、ジャケット・ワークも含めて、ああいうのには負けない!!という意気込みを感じる、というと、これはやはり恣意的だろうか…(笑)アルバム掉尾をしみじみと結ぶのは、ボサノヴァとしてもアストラット以来おなじみのDay By Day、これも当面この曲のベスト・テイク、ということになるだろう。あと注目はスティーヴィー・ワンダーの名曲Superwomanをボサノヴァにしていること!この曲、僕は高校時代の思い出と切り離しがたく結びついているため、個人的に非常に感慨深かった…。ハーモニカは、そう、Toots Thielemans:)そしてこのアルバムの白眉はやはりおそらく、MPBの大立物:Ivan Linsのカヴァー I’m not aloneではないだろうか。何度も何度も、繰り返し聴きたい名テイク。Ivans Lins本人がデュエットで参加している。

だがしかし、問題はtrack 11の偽りのバイア娘、だ。この曲は、僕はボサノヴァの好きな曲を10曲、いや5曲挙げろ、といわれてもそのなかに入るかもしれない、大好きな曲で、これも名演。久しぶりに、本当にいい曲だなぁ、と思いながら何度も楽しく聴いた。すばらしい、すばらしい、すばらしいが、しかし、どうしても、僕にはメトロノームが聞こえてしまう。メトロノームなど問題にならないくらいの見事なグルーヴ、見事な演奏。それは確かだ。けれどメトロノームが問題にならないくらい見事に演奏されればされるほど、僕にはメトロノームが聞こえてしまう(笑)メトロノームがなければ、絶対にこういう演奏になったはずがない。

ポピュラー音楽がメトロノームに合わせて録音されるようになって久しい。問題は、それがもはや、ジャズやボサノヴァのレコーディングにおいても常識になってきている、ということだ。

古いやつだとお笑いでしょうが、僕はどうしても、それがどれほど見事でも、メトロノームに合わせた演奏は、どこかで音楽の魂が損なわれた演奏のように感じてしまう。もはや、ほんとうの音楽を聴きたければ、コンサートホールやジャズ・クラブへ実際に足を運ぶしかない。そういうことなのだろう。この次に、彼女がパリに来るのを心待ちにすることにする;)

Eliane Elias~Bossa Nova Stories

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Published in: lecto-ecoute | le 9/06/2010 | No Comments »